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足でふみゅふみゅ♡ 6

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 落ちついた空間に、どよめきがはしる。                                

 ばたばたと地面を荒々しく踏みならす人が、こっちに向かってくる。太一が形相を必死に歪めながら、ぜぇぜぇと息を切らしていた。俊介を見つけた太一は、歪んだ顔をきらめかせる。太一がこっちに手をふってくるけど、俊介は気にせずにパンをかじり続けた。太一はききっと俊介の眼前でとまり、非難がましい視線を浴びせてくる。

「無視するなよ!」

「わるい、なんだかいやな展開に巻き込まれそうだったんで」

「ひでぇな……いや、実際そうだな……」

 まわりの人たちの視線がいっせいにあつまった。わるい意味で目立ってしまっている。ひそひそとささやき声が、ちくちくと耳にはいった。気配りを忘れない太一は、まわりの人たちに頭をぺこぺこと下げて回った。まわりの人たちはよそよそしいながらも、なにも見なかったことにしてくれた。

「なぁ……俺のこと、匿ってくれないか?今、危ないやつに追われてるんだ」

「匿うって……いきなりそんなことをいわれてもな……」

「大丈夫。俺を追ってきたやつを、追い払ってくれればいいんだ。俺はどこかちがう場所に行ったって、ミスリードしてくれればなお最高」

「追われるからには、相応のことをしたんじゃないのか」

「向こうの被害妄想もはいってるぞ……って、もう追いついてきた。あとは頼んだ」

「あっ、おいっ……」

 太一はいそいそと木々の中に隠れた。死角になりをひそめたようで、ここから太一の姿は見えなかった。   

 俊介が逡巡している間に、例の追跡者はやってきたようだ。誰かと思えば、あゆだった。          

 あゆはいらただしく頬をひきつらせている。静寂を破る乱入者に、ひしひしと注目が集まる。そうじゃなくても、あゆは目立つ。つり目がちの瞳は冷たい印象を放ち、気の弱い相手なら引き下がってしまうだろう。ショートカットに整えた髪はさらさらと風になびいてる。スマートな体形とは対照的に、胸は控えめだった。そのことを本人に言ったら、無事ではすまないだろう。

いかがわしく辺りを窺っているあゆは、こちらまでやってきた。感がいいというか、大変な事態に巻き込まれてしまった。

「俊介じゃないか。ちょっと聞きたいんだが、この変に太一はやってこなかったか?」

「太一?いや、見てないな」

 俊介はしれっと嘘をついた。いつもどおりに振る舞えているはずだった。嘘をついたぐらいで、いちいち動揺する神経は持ち合わせていない。

「ホントか?」

 あゆはいぶかしげにガンを飛ばしてきた。場の空気が凍りついた。野次馬たちがはらはらと、成り行きを見守っ
ている。俊介はあゆのかける圧力にひるまずに、やんわりと面と向かった。

「来てないって。あゆも疑い深いんだな」

「俊介は太一と仲がいいんだぞ。そんなやつのいうことは、あまり信用できない。大抵の人間は、身内にはあまいんだ」

「俺と太一って、そんなふうに見られてるのか」

「……とぼけてるのか、本気なのか、いまいちつかめない……」

「どうとでも取ってくれよ。とにかく、太一はここにはいないからな」

「……とりあえず、信じてみるぞ。もし嘘だったら……お前もただじゃ済まないぞ」

「潔癖なのに、どう制裁を加えるんだよ」

 なにがすごいかって、ここまで凄まれてるのに微動だしない太一だ。背後からは、人のいる気配がぜんぜんしなかった。空気と一体化している。

「……なにシカとしてるんだよ」

 あゆの怒りの矛先が葉月に向かった。                                 

 冷たい視線が葉月に突きささる。一瞬にして、険悪な雰囲気に変わった。あゆはいらいらと足を踏みならし、かつかつと渇いた音を鳴らしている。葉月は特に気にした様子はなく、もくもくとパンを食べていた。すました顔がクールだった。目をつむったまま、あゆには合わせようとしなかった。焦れたあゆは、ちっと舌打ちをする。野次馬たちの中には、びくっと身をこわばらせるものもいた。


「お前に言ったんだよ、葉月。ずいぶんな態度だな」

 あゆはのっそりと葉月に身を乗りだした。葉月は胡乱げにあゆを視界におさめると、今気付きましたとばかりに驚いた。

「あなた……いたんだね。ごめん、パンに夢中だったんだよ」

「はぁん……お前の中では、私よりもパンのほうが重要なんだな……ふざけんじゃねぇよ!」

 あゆの怒号は大気をふるわせる。否が応でも、人目をひいてしまう。ひそひそ声すら聞こえなかった。にぎやかな談笑の時間のはずなのに、喋っている人は誰もいない。

――とんでもない事態に巻き込まれたな……

 太一を匿うだけのはずなのに、性質のわるい諍いに巻き込まれてしまった。そういえば、葉月とあゆは仲がよく
ない。顔を合わせるたびに、なんらかのいざこざを起こしているような気がする。

 葉月は表情を曇らせると、体面だけはおだやかさを取り繕う。葉月はパンを口から離すと、膝の上にやんわりと
手を置いた。

「因縁をつけらえるのが嫌だったから、知らない振りをしてたのよ……実際、突っかかってるし」

「なんだと」

「私のことはほっていてよ。いちいち喧嘩を売らないほうが、あゆはかわいいよ」

「……ふざけるな」

 あゆはぎりぎりと拳を握りしめている。今にも掴みかかってきそうだった。

――なんとかしないとな。

 厄介な事態に巻き込まれるのがごめんだったが、暴力沙汰に発展するのはもっとごめんだ。こういうのは第三者が口出ししても解決はしないのだろうし、火に油を注いでしまうかもしれない。それでも、なにもしないよりはましだった。

「おいおい落ちついてくれよ、二人とも」

「あぁ?お前はすっ込んでろよ、部外者」

 あゆは俊介に接近すると、ドスのきいた声で凄んでくる。怖い人をいさめるのも骨が折れる。内心ではやれやれ
とため息をつきつつ、あゆの気分を害さないように言葉を選んだ。

「冷静になってくれよ。ここは人の往来だ。そんなところで言い争いをしてもいいのか」

「そんなの私の勝手だろ。横からつべこべ理屈をこねるんじゃねぇよ」

「……それなら、場所を移動しようかな?ここにいても、まわりに不快な思いをさせちゃうし」

 葉月はぽんっとスカートを払うと、ベンチから立ち上がった。あゆの手を取り、にこっと笑顔をつくった。あゆは苦虫を噛みつぶしたように、不快さをあらわにする。

「なんの真似?」

「用件があるなら、余所で聞くって言ってるの」

「ここでいいだろ。なんだって、まわりに遠慮しなくちゃいけないんだ」

「それこそ、場所なんてどこでもいいでしょ。どこでもあなたの優位は変わらないでしょ。それとも……私に勝つ
自信がないの?」

 あゆの空気がどす黒く変色していく。鬱々と不穏な煙があゆからくすぶり、いらただしさが募っていく。

――ヤバいだろ、これ。

 一見、葉月は落ちつき払っているように感じられるが、けっこうストレスがたまっている。言葉の節々から、刺々しさが伝わってくる。

 葉月とあゆのあいだに、俊介は割って入った。

「その変にしておきなよ。これ以上ことを荒立てたら、洒落にならないぞ」

 瞳孔のひらききったあゆは、しばらく沈黙した。あゆから罵倒される覚悟をした。今のあゆは見境なく、人に暴
力をふるうだろう。気に入らない相手なら、なおさらだ。あゆは口をもごもごと歪めると、それ以上は罵詈雑言をつつしんだ。予想に反して、とりあえずあゆは矛先をおさめてくれたのだ。

「……つまんない」

 あゆは葉月の手を払いのけると、すらすたと去って行った。そのうしろ姿を、葉月は無言で追った。あゆの姿が完全になくなると、がやがやと喧騒が始まる。まわりの人たちは開放的で、安堵している。あゆへの怖れを口々にしていた。
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長谷川名雪

Author:長谷川名雪
初めまして、長谷川名雪と申します。
シナリオライター・小説家などを目指して修行中です。
このサイトでは主にエッチぃな作品を載せていきます。
よろしくお願いします。

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